アファンタジアという個性
「頭の中でイメージしてごらん」
「絵が浮かべば分かるはずだよ」
勉強の場面で、こうした言葉を聞いたことがある方は多いと思います。
そして同時に、「それができない」子どもを見て、不安になった経験もあるかもしれません。
ですが、ここで一つ、知っておいていただきたいことがあります。
人の頭の中は、そもそも同じようにはできていません。
アファンタジアという「思考の違い」
近年、「アファンタジア」という言葉が知られるようになってきました。
これは、頭の中に映像を思い浮かべることができない、またはとても難しいという特性を指します。
といっても、病気や障害という話ではありません。
大人の中にも普通にいて、本人も気づかないまま生活していることが多い特性です。
「りんごを思い浮かべてください」と言われたとき、
はっきりと映像が浮かぶ人もいれば、
言葉や特徴だけで理解する人もいます。
どちらが良い、悪いという話ではありません。
考え方の形式が違うだけです。
「見えない=考えていない」ではありません
アファンタジアのような特性があると、
「イメージして考える」ことが前提の説明が、かえって分かりにくくなります。
ですがそれは、考えていないわけではありません。
多くの場合、
- 言葉で順序立てて考えている
- 手を動かしながら整理している
- ノートに書いて初めて理解が進む
といった形で、しっかり思考しています。
頭の中に映像が浮かばないだけなのです。
勉強が噛み合わなくなる理由
勉強がうまくいかなくなる場面では、
この「思考の見え方の違い」が影響していることがあります。
教える側が無意識のうちに、
「自分と同じように考えているはず」という前提で説明してしまうと、
子どもはつまずきやすくなります。
すると、
- 理解が遅い
- 集中力がない
- やる気が足りない
と誤解されてしまうこともあります。
本当は、やり方が合っていないだけなのに。
前提を変えると、学びは軽くなります
子どもが分からないとき、
「努力が足りないのでは」と考える前に、
考え方の前提が合っているかを見直してみる。
それだけで、学びの空気は大きく変わります。
私たちは、
どの子にも同じ説明をすればいいとは考えていません。
映像で理解する子。
言葉で整理する子。
書いて考える子。
それぞれの「見え方」に合わせて学ぶことで、
少しずつ力は伸びていきます。
違いを前提にすると、親子関係も楽になります
「どうして分からないの?」
「何度も言っているのに」
そんな気持ちが生まれるのは、
子どもを思っているからこそです。
でも、見え方が違うだけだと分かると、
声のかけ方も、待ち方も変わってきます。
子どもを変えるより、
前提を少し変える。
それが、長く学び続けるための土台になります。
次回は、自然界の「変わった成功例」を手がかりに、
多様性とは何かを、もう少し広い視点から考えていきます。
